「緑の宝石」とも呼ばれるシャインマスカット。2026年8月、前年比で価格が約3割高となり、お盆需要で人気が高まっていたまさにそのタイミングで、全国各地から盗難被害が相次いで報じられました。山梨・栃木・岡山・和歌山・新潟——生産量トップの産地から新興産地まで、被害は広範囲に及んでいます。
この記事では、実際に被害に遭った農家の状況と、「買うことで応援する」という具体的な方法をお伝えします。盗まれたシャインマスカットそのものを探す必要はありません——その農家が育てている別の作物を買うことも、立派な応援になります。
2026年8月、全国各地でシャインマスカットの大量盗難が相次ぎました。フリマアプリでの転売への警戒から、アプリ側が注意喚起を出す事態にもなっています。
収穫を予定していた約400房、被害額にして約80万円相当が盗まれました。「1年間頑張って育ててきて、今年は結構出来がいいと思っていたので、ショックというのが単純に大きい」——いずみファームの猪股和泉代表は、そう振り返っています。防犯対策が手薄だった用水路側から侵入されたとみられ、過去にも桃の盗難被害を2度受けています。
佐野市から直線距離で約10kmの農園でも、約200房・時価24万円相当が盗まれました。9月の収穫を予定していた矢先の被害で、警察は佐野市の件との関連も含めて捜査しています。
収穫前のシャインマスカット約50房(1房1,000円・計約5万円相当)が盗まれました。茎には切り取られた跡があり、房に付いた傘ごと持ち去られたとみられます。被害農家は「一生懸命育ててここまで来るには丸1年。それを一気に持っていかれているから情けない」と憤りを語っています。JAによると、県内でのぶどうの盗難被害は今年初とのことです。山梨県は全国のシャインマスカット生産量の43.4%を占める、最大の産地です。
約200房、被害額約40万円相当が盗まれ、42歳の男が窃盗容疑で逮捕されました。自宅からはさらに約300房が発見されています。隣接する井原署管内でも被害が報告されており、関連を調べているとのことです。
人口約4,000人の久米南町は、高齢化と耕作放棄地の増加を受け、「第2の人生、始めませんか」と外から移住者を募集してきた町です。畑を貸し、栽培技術を教え、家賃や奨励金も出す——そんな制度に応えて2020年に移住してきた農家の一人が、今回被害に遭いました。「(窃盗が)3年くらい前から増えてきた」と地元のぶどう部会長も語っており、限界集落の生き残り策そのものが、盗難によって揺らいでいる構図が浮かび上がります。
約100房、時価30万円相当が盗まれ、紀の川市の68歳の農家の男が逮捕されました(逮捕時点であり、有罪が確定したわけではありません)。同業の農家による犯行という特異なケースとして報じられています。
新潟市南区では、8月22日〜26日にシャインマスカット約100房(約12万円相当)が盗まれる被害が発生。同区内では8月3日〜5日にも巨峰約10房が盗まれており、警察は同一犯の可能性も視野に捜査しています。さらに聖籠町でも8月31日〜9月1日に約25房(約5万5,000円相当)が盗まれ、これらの事件の関連も調べられています。警察はセンサーライトや防犯カメラの設置、不審な人・車を見かけた際の通報を呼びかけています。
警察庁の統計によると、農作物の窃盗被害認知件数は年間2,000件超で高止まりが続いています(令和6年の検挙率は43.4%)。桃・ぶどう・キャベツ・りんご・さくらんぼ・いちごなど幅広い品目が被害に遭っており、シャインマスカットの盗難は、その中でも特に注目を集めている一例だと言えます。
盗難だけでなく、近年の猛暑による「高温障害」(果実の日焼け・軟化・着色不良、糖度が上がりにくいなど)も、ぶどう農家を悩ませる一因として報じられています。
9月3日からシャインマスカットの収穫が始まったまるえ果樹園。気温が低い日が続き、生育は例年より1週間ほど遅れていますが、粒は大きく出来は上々とのことです。「収穫期のブドウにとって雨は大敵」——水分が増えて糖度が上がりにくくなるといい、雨よけを活用しながら収穫を進めています。
「シャインマスカットが盗まれたなら、シャインマスカットを買わなければ」と考えがちですが、必ずしもそうではありません。その農家が育てている別の作物を買うことも、農園全体を支えることにつながります。ここでは3つの方法をご紹介します。
盗まれたシャインマスカットは、フリマアプリなどで転売されている疑いがあると報道されています。「安いシャインマスカットを見つけた」と購入したものが、結果的に盗品だったということにもなりかねません。応援するなら、農家の公式オンラインショップ・信頼できるふるさと納税ポータル・正規の直売所など、出どころが明確な販路から購入することが大切です。
また、SNSでは「農家なりすまし詐欺」(義援金詐欺とみられる)も報告されています。寄付・支援をする際は、必ず自治体の公式サイトや、農家本人が発信している公式アカウントから行うようにしてください。
盗まれた作物そのものでなくても、その農家が育てる別の作物を選ぶことも、立派な応援になります。
買うという行為が、そのまま「大丈夫だよ」というメッセージになる。そんな応援の形です。

