2026年8月27日、石川県で記録的な豪雨が発生し、羽咋市・志賀町・宝達志水町・中能登町にレベル5の大雨特別警報が出されました。ちょうど収穫を目前に控えていた稲が水に浸かり、被害を受けています。
追い打ちをかけるのが、全国的な米価下落です。令和7年産米は記録的な豊作で在庫が積み上がり、スーパーの店頭価格は2026年8月時点で5kg3,220円(前年同期比13.8%安)まで下落。「不作で値段が上がる」のではなく、「周りが豊作すぎて、安売り合戦になっている」という、より切実な状況の中で今回の豪雨被害が起きています。
この記事では、石川県(特に被害の大きかった羽咋市周辺)の米農家を、お取り寄せ・ふるさと納税で応援する具体的な方法をお伝えします。
令和7年産米は記録的な豊作となり、民間在庫が積み上がっています。需要も過去最少の683万トンまで落ち込んでおり、供給過剰の状態が続いています。
2022年夏には5kgあたり約2,000円だった価格は、2023年の猛暑による品質低下や在庫減少をきっかけに高騰。2025年11月に過去最高値(5,002円)をつけた後は下落に転じ、2026年8月には8週連続の値下がりで3,220円まで下がっています。統計の集計方法によって数値には幅がありますが、方向感としてはこの通りです。
高値が長く続いた背景には、複数の要因が重なっています。長年の減反政策で供給に余力がなかったところに、2023年の記録的猛暑で品質が低下(精米時の歩留まりが悪化)。さらにインバウンド需要が2023年の2.1万トンから2025年には6.3万トンへ、わずか2年で3倍に急増しました。2024年8月には南海トラフ臨時情報をきっかけに「米が消える」という不安からの買いだめも発生し、需給がさらに逼迫しました。
そして今起きているのは、いわばその反動です。2025年8月、政府は1970年から続いた減反(生産抑制)路線を転換し、コメの増産方針へ舵を切ることを閣議決定しました。高値を見た農家がこの方針転換に後押しされる形で作付けを増やし、好天にも恵まれて2025年産は記録的な豊作に。インバウンド需要も落ち着いたことで、供給が需要を上回る状態に逆転しました(なお2026年産については、政権交代を経てやや慎重な生産目安に修正されており、政府の方針自体もまだ揺れ動いています)。ちなみに2024年8月には、コメの値動きに連動する先物取引「堂島コメ平均」が大阪の堂島取引所で本格的に上場しています。生産者が収穫前から価格の見通しを立てやすくすることが狙いですが、上場1年時点では取引はまだ低調と報じられています。
令和8年産の概算金(農家が最初に受け取る仮払い金)も前年比2〜4割安となる産地が相次いでおり、農家の85%が「厳しい」と回答しているという調査もあります。9月以降は新米の供給も増えるため、店頭価格がさらに下がる可能性も指摘されています。
2026年8月27日、羽咋市では観測史上最大となる1時間82ミリ・24時間343ミリの記録的大雨を記録。堤防の決壊や河川の氾濫により、収穫直前の水田が広範囲で水に浸かりました。
西潟・南潟(約190ha)と周辺農地(約160ha)で冠水が継続中。東潟(約60ha)は解消したものの、うち約50haで水稲への被害が確認されています。収量・品質への影響は「経過観察中」(石川県の発表より)。ため池・頭首工・水路・揚水機・農道など、農業用施設の被害も196箇所(羽咋市だけで58箇所)に及んでいます。
羽咋市で米や野菜を育てる農事組合法人アグリスターオナガの濱田栄治代表。邑知潟周辺で所有する6.5ヘクタールの田んぼは、今も水に浸かったままです。この田んぼは5月に放鳥されたトキのえさ場となるモデル地区にあり、減農薬で栽培した「トキの認証米」は、翌週から初めての収穫を迎える予定でした。
稲は収穫時期に3日以上水に浸かると出荷に影響が出るとされています。田んぼへの道路も冠水しているため、濱田さん自身、稲の様子を近くで確認することもできない状態が続きました。
濱田さんは「稲刈り直前にこんなことになって残念」と語った上で、こう続けています。「被害の実態が分かったら、落ち込む農家や廃業する農家も出てくる可能性があり、心配です」。米価下落が続くただ中での被災が、農家の営農継続そのものを揺るがしかねないという懸念が、そのまま言葉になっています。
※放鳥されたトキは、しばらくこの地域に定着していたものの、その後見かけなくなったという声もあります。石川県は「行方不明」とは発表しておらず、目撃情報を集めながら「能登のトキ通信」として毎月上旬ごろに生息状況を紹介する形で、モニタリングを続けています。
早生品種「ゆめみづほ」の収穫が始まったばかりだった長瀬明さんの田んぼも、今回の豪雨で被害を受けました。落雷で乾燥機まで使用不能になった農家もあり、収穫のタイミングと被災が重なったことで、各農家が対応に追われています。
羽咋農林事務所に相談窓口が開設され、コンバインなどが水に浸かり稲刈りができない農家と、代わりに作業できる農家とのマッチング、泥だし作業を行うボランティアの紹介、営農再開に向けた融資相談などを、県・自治体・JAが連携してワンストップで受け付けています(0767-22-0001、毎日9時〜17時、土日祝も対応)。県担当者は「被災条件は農家さんそれぞれ異なると思うので些細なことでも構わない」と話しています。
A. 今店頭に並んでいるのは主に令和7年産米で、収穫・出荷は数ヶ月前に完了しています。今回の豪雨(2026年8月)とは基本的に無関係です。
A. 冠水期間が1日以内ならほとんど減収しないとされますが、数日続くと品質低下(穂発芽・病害虫リスクの増加)のおそれがあります。収穫された米はJAなどの検査(水分量・カビ・異物混入など)を経て出荷される仕組みになっており、市場に出回るものはその基準を満たしたものです。
米価が下がっている今だからこそ、直接買うことが農家への応援になります。特に、豊作で余っている令和7年産の在庫を買うことは、新米が出回る前に在庫を売り切りたい農家・JAへの後押しになります。
石川・富山・福井の3県をまとめて支援できる募金です。PayPayでも寄付が可能で、誰でも少額から気軽に支援できます。
今回の豪雨は、石川県だけでなく富山県・福井県にも及んでいます。しかも3日連続で、隣り合う県を順番に襲うという珍しい経過をたどりました。
県のまとめによると、富山県では冠水(3.53ヘクタール)に加え、稲が倒れる被害が判明分だけで263ヘクタールに達しています(8月30日午前10時時点、詳細調査中の部分が多く、最も被害が大きいとみられる氷見市の実態はまだ明らかになっていません)。
氷見市湖光地区で農業を営む裏登志巳さん(シムテック会長)の田んぼには、大雨でタイヤやストーブの灯油缶などの生活ごみが大量に流れ着き、収穫を控えていたコメのおよそ1割が収穫できない見通しだといいます。主力の刈り取り機も床上近くまで水に浸かり、寿命が短くなることは避けられない状態です。「最後まで仕事を納めたいと思っているが、水に浸かるケースが多くなったのでこの辺でやるのが嫌になった。ちょっといま元気ない」——長年続けてきた農業への意欲そのものが揺らいでいることが伝わってくる言葉です。
同じ氷見市海津の水田でも、収穫前の稲に大量の稲わらやごみが重なり、所有者の男性が熊手を使って手作業で取り除く作業に追われました。「品質が多少落ちると思うが、仕方ない。何とか収穫したい」と話しています。氷見市では床上・床下浸水した住宅も539件にのぼりました。
「てんたかく」は、富山県が育成したオリジナル品種。コシヒカリより早く収穫できる早生種で、粒が大きく光沢があり、ほどよい粘りであっさりと食べやすいのが特徴です。暑い夏でも品質が落ちにくいお米としても知られています。
石川・富山で記録的な大雨を観測してわずか3日後の8月30日、今度は福井県で長時間にわたる大雨が続きました。福井市・大野市・勝山市に大雨特別警報が出され、坂井市では観測史上最多の24時間降水量を記録しています。
福井市下中町の農事組合法人代表理事(60)は、近く収穫を予定していたコシヒカリの田んぼが水に浸かる様子を前に、「水はすぐには引かないだろう」と弱り顔。そしてこう続けました。「26年産米の内金(前払い金)も下がっただけに、かなりの打撃。農家が死んでしまう」。米価下落と豪雨被害が同時に襲いかかる、この記事のテーマそのものを象徴する言葉です。
石川県以外の産地を応援したい場合も、同じように地元のふるさと納税やお取り寄せを通じて応援することができます。
氷見市(富山県)や福井市など、個別の自治体ごとに探すのが大変な場合は、上記でもご紹介したYahoo!ネット募金が便利です。石川・富山・福井の3県をまとめて支援できる募金で、PayPayでの寄付にも対応しています。
在庫の令和7年産を選ぶことも、被災地への寄付をすることも、どちらも立派な支援です。
「安いから買い控える」のではなく、「安いからこそ、あえて選ぶ」。そんな応援の形です。

